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国際石油カルテル

著者米国連邦取引委員会 諏訪良二 訳注
仕様美装上製本 B5版
価格本体8,000+税
商品コードISBN4-87194-052-7
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Point

世界の石油産業はいま新しい活躍の時代に入っている



Point

米国議会上院、小企業特別委員会の要請に基づき、連邦取引委員会が編纂

概況

■定本『国際石油カルテル』の刊行について

 世界の石油産業はいま新しい活躍の時代に入っている。世界の石油生産は1992年の日量6,575万バレルから、96年の同6,969万バレルに、毎年、日量的100万バレル、年率1.5%の割合で増加している。この生産の約60%は「非OPEC」といわれる、OPEC加盟国以外の地域で産出されている。石油は枯渇する資源だが、原油の確認埋蔵量は1991年末の1兆9億バレルから、96年末には1兆369億バレルに増加している。石油は毎年、生産・消費を上回る資源が発見されている。この豊かな石油の発見、生産に大きな寄与をしているのが「メジャーズ」と呼ばれる6社の巨大国際石油企業である。石油産業の歴史は、1859年にアメリカで原油生産が開始されたのが始まりとされているから、まだ150年にみたない。メジャーズには石油産業の成立時代から活躍してきた企業もあるが、第一次大戦後、中東石油の開発を通じて国際石油市場の巨大な存在となった。当時は7社あって「セブンシスターズ」と呼ばれ、各社の競争、協調、共同行為によって中東の莫大な石油資源を市場に出すとともに、国際石油市場の安定に大きな力を発揮した。その結果、セブンシスターズはカルテルを形成し、石油産業を独占、支配していると見られるようになった。1970年代に入って、OPECの勢力が台頭し、産油国が石油産業の国有・国営化政策を採用するにいたり、メジャーズは中東はじめ各産油地域において、膨大な埋蔵量、多数の生産施設、精製設備など巨額の資産、投資を接収され、撤退することを余儀なくされた。その後は、アラスカ、北海、アフリカ、中南米、各地の沖合大陸棚など、限界的な悪条件の地域で、再び石油探鉱、開発、生産に挑戦し、着実に成功して、徐々に企業の力を回復していった。この成功をもたらしたメジャーズの技術開発力も見逃せない。いまや、三次元探鉱、水平掘削、浮遊武生産システムなどの技術により、極地はもとより、千メートルを超す深海底でも石油掘削が可能になり、生産のコストの引き下げに大きく寄与している。石油産業を国有化した産油国は、80年代後半から、メジャーズより受け継いだ埋蔵量の減少、油田の老朽化、国有石油企業の肥大化などの問題に直面し、石油価格の下落で国家財政の悪化に見舞われ、国営石油事業の改革、再建が必要になった。それには、メジャーズの資金、技術、ノウハウ等に頼らざるを得ず、産油国は資源ナショナリズム的政策を転換し、石油鉱区の開放、国有石油企業の民営化、外資導入などを進め、再びメジャーズを、迎え入れている。これも、世界の石油生産におけるメジャーズの地位を高め、メジャーズの復権といわれる状況を出現させることになっている。1991年のソヴィエト連邦の解体、独立国家共同体(CIS)の成立は、ロシア及び中央アジアー帯の膨大なエネルギー資源を国際的に解放した。とくにカスピ海周辺諸国は、豊富な石油、天然ガス資源の開発により、独立国家としての経済基盤の構築を目指し、多くの鉱区を開放しつつある。この地域には、埋蔵量は大きいがメジャーズの技術力なくしては開発の難しい油層条件の厳しい油田もある。また、各国の利害が錯綜し、政情が複雑な内陸地域であり、石油・ガス資源を市場に出すには、複数の国家にまたがる長距離・巨大パイプラインを建設する必要がある。

 こうした油田構造的にも、地政学的にも複雑な地域の開発には、メジャーズの資金力はもとより、技術力、外交力、経営力が必要である。今、カスピ海地域では幾つかの石油・天然ガス開発コンソーシアムが形成され、また構想されているが、いずれもメジャーズが主体になっている。メジャーズが中東油田の開発において実施した共同行為は、カルテルとして批判される部分もあったが、一面では、巨大資源開発に伴うリスクの分散、資金、技術、人材の効率的活用などの点で貴重なノウハウであり、いま、それがカスピ海地域で再び活用されつつある。さらに、今後のロシア石油産業の改革にも、メジャーズが重要な役割を果たすことになろう。このような経過を経て、1970年代には「その時代は終わった」といわれたメジャーズが、今や再び国際石油産業の中核を占め、発展をリードしつつある。メジャーズに対する認識も変わってきた。

 メジャーズを再評価する声も高まっているこうした時代的変遷を踏まえて、弊社は、メジャーズ研究の基礎的文献として定評が高く、かねて各方面より再刊の希望の強かった本書『国際石油カルテル』を改めて世に送ることにした。本書は、米国議会上院、小企業特別委員会の要請に基づき、連邦取引委員会が編纂したものである。その経緯は訳者序文、原書序文、緒言等に詳しいが、米議会及び連邦政府の力によって初めて公開された第一級の資料である。本書の訳者、諏訪良二(本名、井口東輔、1906-1975)は、戦前は日本経済研究所、企画院に勤務し、戦後は、丸善石油、石油連盟にあって石油の調査・研究に従事した。石油評論社より初版が刊行された。その後は再刊の機会を得なかったが、訳者は不断に訳文の推敲、改削に務め、終生の事業として取り組んでいた。弊社はその後、初版元より版権も継承、今回の再刊にあたっては、訳者の遺族より推敲、改定の資料を譲り受け、和訳を全面的に補訂、本書を『定本』として発行することにした。訳者の念願をいささかなりとも世に伝え、多くの読者の支持を得て、本書が広く活用されることを願うものである。

1998年5月 オイル・リポート杜酒井文麿

■訳注者はしがきここに訳出した,米国連邦取引委員会の報告書

 訳注者はしがきここに訳出した,米国連邦取引委員会の報告書(TheIntemationalPetroleumCarte1・August22,1952-StaffReporttotheFederalTradeCommissionsubmittedtotheSubcommit-teeonMonopolyoftheSelectCommitteeonSmallBusiness,UnitωStatessenate)の由来は,本書の序文と緒言でこれを明らかにしてあるから,あらためて賛言を加えない。米国大石油会社の独占禁止法違反事件は,長年にわたり係争中であった。その帰趨は.まだ全面的には定かでないが,その一部については昨年7月,政府の告訴は却下された(405頁の訳者注参照)。国際大石油会社が,あるいはカルテルを形成し,あるいはその資本力にものをいわせて・独占的諸協定や取り極めを行って,石油産業を独占,支配している,という巷説は・今日まで全世界を通じて,かなり確度の高い常識となっている。しかし,その詳細な実態や真偽は明らかでなかった。石油をめぐる列強の,また,大石油諸会社の激しい戦いと協力については,今世紀初頭以来.幾多の文献が重ねられてきたが,多くは,種λの現象を,類推をもって,それぞれまとめたもので.真相は相変らず模糊としていた。ところが,門外に出でなかった諸資料を駆使した本書の刊行によって.国際石油産業の実態と大石油会社のカルテル的活動の存否を判断するに足る有力な資料が得られることになった。本報告書に描写される精密な実態が,高度の権威と信頼性をもつことは,本報告書の刊行由来から判断して疑いないところである。本報告書の精読によって,われわれは,国際石油産業について,高度の知識をもつことができる。もちろん,本報告書は特別の目的のもとに書かれたものであるから,必ずしも.石油産業に関する歴史的,経済的知識を網羅しているわけではないが,その極めて多くの部分を本書から汲みとることができる。いわば本書は,国際石油産業に関する基礎的著書といってよく,おそらく,わが国の石油に関心をもつ政治家,学者,実業家,学生はもとより・当の石油業者自身にも稗益するところが少くないと思われる。報告書の緒言にも断っであるように,本報告書は,1949年までの事実についての分析であるから,その後の経緯や発展については触れていないし,資料も.刊行年の1952年には最新であったが,今日では.変化の激しい石油産業にあっては,やや古くなっているものもある。しかし,このことは今日においても,本書の価値と意義を少しも低下させるものではない。新しい資料や解説を訳注によって加えることは.かえって,本書の目的と体系に対する焦点をほかすおそれがあるかもしれない。しかし,本報告書とは別個に,‘’その後の‘’事情や数字を読むことは,一般読者にとっては,甚だわずらわしいことでもあろうし,かつは,本書のような基本的な著作を土台に,関係事項や最近の文献を補注することは,石油産業に関心をもつ読者には至極便利であろうと考えたので,あえて,蛇足を加えることにした。市報告書は,公正な立場からの分析を志しているとはいえ,あ.くまで,米国上院の手になるもので,米国の国家的利益が第1に底流していることはいうまでもないであろう。他国の見解や立場は,種λの点で,またおのずから異るところもあろう。この訳文は,もと,昭和30年8月以来奉書房刊行の“油脂”およびその後継誌である“石油と石油化学”に約30ヶ月にわたって連載されたものを土台に,誤植,誤訳を訂正し,また訳者注資料の数字を更新したものである。原書自体が微妙な用語法や表現法を用い,あるいは,精確な記述を必要とする条規や協定の内容をもって満されているため,訳文は,できるだけ原文に忠実であることを旨とした。日本文としてできるだけ読み易いことを常に心がけたつもりであるが,訳文の稚拙はひとえに訳者の非才と貴に縁由するところである。誤訳や表現の不適切の無きを保しがたい。大方の叱正を仰ぎたい。なお.原著においては,部と章の区分はあるが節以下は区分されることなく,たんに表題を附しただけであるが,読者の便宜のため.節以下の区分を押入した。また.索引も原著にはないが,石油産業に関する基礎的著書としての本書の活用上便利と考えたので,かなり詳細にこれを附加した。目次と併せて御利用願いたい。巻末に附加した訳注者附録もまたおなじ趣旨である。最後に,本訳書刊行について,また奉書房の前掲誌への連載について.石油評論社代表者奥田英雄氏の公私にわたる御厚情に深甚の謝意を表さねばならない。おなじく,長い間,貴重な誌面を本訳文のために提供して完結させて下さった幸書房にたいしても同様の謝意を表さねばならない。また,本書刊行に際しての繁頑な仕事に助力を惜しまれなかった,石油評論社の諸氏に謝意を捧げる。

昭和34年8月 諏訪良二

株式会社オイル・リポート社
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